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AI用PCの用語集|スペック表とモデル名を読むための30語

AI用のPCを調べると、VRAM、量子化、KVキャッシュ、MoEといった言葉が説明なしに出てきます。ここでは、機種選びとモデル選びで実際に判断が変わる30語を、当サイトのデータベースの実数値と結びつけて説明します。用語ごとに「これが分かると何を判断できるか」を添えました。

メモリまわり

VRAM(ビデオメモリ)

GPUに載っている専用メモリです。AIモデルを動かすときは、モデルの重みをここに置く必要があり、容量が足りなければ動かないか、極端に遅くなります。AI用途でGPUを選ぶとき、演算性能より先に見る数字がこれです。GeForceの単体GPUでは32GB(RTX 5090)が上限。

同じ型番でも容量違いがあり、RTX 4060 Tiには8GB版と16GB版、RTX 3080には10GB版と12GB版があります。容量別に何が動くかで実際の差を確認できます。

ユニファイドメモリ

Apple SiliconのMacで、CPUとGPUが共有する1つのメモリです。GeForceのように「VRAMの壁」がないため、メモリ64GBのMacなら約48GBをモデルに使えます。GeForce単体のVRAMには載らない70B以上のモデルが動くのはこのためです。

ただし全部をモデルに使えるわけではなく、OSとアプリの分を除いてモデルに使えるのは36GB以下の構成で約2/3、それ以上で約3/4が目安です。AMDのRyzen AI Max+ 395も同じ構造で、128GBのうち最大96GBをGPU側に割り当てられます。

メモリ帯域幅(GB/s)

1秒間にメモリから読み出せるデータ量です。ローカルLLMが1文字を生成するたびにモデル全体を読むため、生成速度はほぼこの数字で決まります。RTX 4070が504GB/s、RTX 5090が1,792GB/s、M4 Proが273GB/s、M4 Maxが546GB/s、GPUなしのDDR5-5600デュアルチャネルで89.6GB/s。「Macは容量で勝ち、GeForceは速度で勝つ」という当サイトの表現は、この数字の差から来ています。

CPUオフロード

モデルがVRAMに収まらないとき、はみ出した分をシステムメモリに置いて動かす方法です。動きはしますが、システムメモリの帯域幅はVRAMの5分の1以下なので、速度は数分の一に落ちます。当サイトの判定では、この状態を「CPUオフロード」と明示し、速度の低下も推定に反映しています。

モデルのサイズと形式

パラメータ数(8B、27Bなど)

モデルの規模を表す数で、Bは10億(billion)です。8Bなら80億個の数値でできています。目安として、4bit量子化したファイルサイズはパラメータ数の約0.6倍のGB数になります(8B → 約4.7GB、27B → 約16GB)。大きいほど賢い傾向がありますが、必要なメモリと生成の遅さも比例します。

量子化

モデルの重みを少ないビット数で表し直して、ファイルを小さくする処理です。元は16bitですが、4bitにすればサイズは約4分の1。品質は少し落ちますが、4bit(Q4_K_M)なら多くの用途で差を体感しにくいとされます。この処理があるおかげで、本来は業務用GPUが要るモデルが個人のPCで動きます。形式ごとの違いは量子化の種類と必要メモリにまとめました。

GGUF

llama.cppが使うモデルファイルの形式です。Ollama、LM Studioなど主要なローカルLLMツールがこの形式を読みます。1つのファイルにモデルの重みと設定(層数、注意機構の構造、語彙)が入っており、当サイトはこのファイルの先頭部分だけを読んで必要メモリを計算しています。

Q4_K_M、IQ4_XS、Q8_0

量子化形式の名前です。数字がビット数、Kは混合精度方式、Mはmedium、Iはimportance matrixを使う方式を表します。実用上は「Q4_K_Mが標準、IQ4_XSはもう1割小さくしたいとき、Q8_0は品質重視」と覚えれば足ります。

速度と処理

トークン

モデルが扱う文字のまとまりです。日本語では1トークンが1〜2文字程度。「1,000トークンの文章」はおおむね1,000〜2,000字にあたります。

tok/s(トークン毎秒)

1秒間に生成できるトークン数で、体感速度を表す指標です。人が黙読する速さが5 tok/s前後なので、10を超えていれば待たされる感覚はありません。20以上なら快適、5未満だと「考え中」の時間が気になります。当サイトはこの数値を、メモリ帯域幅とモデルサイズから計算し、公開ベンチマークの結果で機種ごとに補正して表示しています。当サイトが測った値ではないため、必ず「推定」「補正済み」のラベルを添えています。

コンテキスト長

モデルが一度に読める文章の長さです。8,192トークンなら日本語で8千〜1万6千字ほど。長い文書を渡す、会話を続ける、コードベース全体を読ませるといった使い方では、この値を大きくします。ただし伸ばすとKVキャッシュがメモリを食うので、必要メモリが増えます。各モデルのページに、4Kから128Kまでのコンテキスト長別の必要メモリ表を載せています。

KVキャッシュ

会話の途中経過をメモリに保持する仕組みです。同じ計算を繰り返さずに済む代わりに、コンテキスト長に比例してメモリを消費します。当サイトはこの量を、モデルの層数・注意ヘッド数・head次元から計算式で求めています。モデルによって増え方が大きく違い、たとえばGemma 3 27Bは62層のうち52層がスライディングウィンドウ方式なので、コンテキストを16倍にしてもKVキャッシュは10倍程度にしか増えません。

プロンプト処理と生成

AIの応答は2段階です。渡した文章を読む処理(プロンプト処理、pp)と、答えを1トークンずつ書く処理(生成、tg)。ppは並列に計算できるのでGPUの演算性能で速さが決まり、tgはメモリを読み続けるので帯域幅で決まります。当サイトが扱う速度はtg(生成)のほうで、体感に直結するのはこちらです。

モデルの構造

dense(密なモデル)

すべてのパラメータを毎回使う、標準的な構造です。32Bのdense型モデルなら、1トークン生成するたびに32B分の重みをメモリから読みます。サイズが大きいほど、そのまま遅くなります。

MoE(Mixture of Experts)

モデルを多数の「エキスパート」に分け、1トークンごとに一部だけを使う構造です。総パラメータが30Bでも実際に使うのが3Bなら、読み出す量は10分の1で済み、その分速く動きます。メモリには全体を置く必要があるので容量は必要ですが、速度は小さいモデル並み。「Qwen3 30B-A3B」のA3Bはアクティブパラメータ3Bという意味です。大容量メモリでGPUを積まないPCがローカルLLMで有利になるのは、このMoEのおかげです。

アクティブパラメータ

MoEで1トークンあたり実際に使われるパラメータ数です。速度を左右するのは総パラメータではなくこちら。モデル名に「A3B」のように書かれていない場合、当サイトはGGUFのメタデータ(エキスパート数・使用数・次元)から計算して推定値を表示しています。

スライディングウィンドウ注意

過去のすべてを見るのではなく、直近の一定範囲だけを見る仕組みです。全層で全体を見る方式に比べ、コンテキストを伸ばしたときのKVキャッシュの増え方が大幅に緩やかになります。GemmaやGPT-OSSが採用しています。

MLA(圧縮KVキャッシュ)

DeepSeek系が採用する方式で、KVキャッシュを圧縮した形で持ちます。長いコンテキストでもメモリが膨らみにくく、大きなモデルを個人のPCで動かす助けになります。

ハードウェアの用語

NPU

AI計算専用の低消費電力な回路です。Windowsの「リコール」「ライブ字幕の翻訳」など、OS付属の軽い機能を常時動かすために使われます。ChatGPTや画像生成、ローカルLLMの速度には関係しません。量販店で「AIパソコン」と呼ばれる機種の多くはこのNPU搭載機です。詳しくはAIパソコンとはで説明しています。

TOPS

1秒間に何兆回の演算ができるかを表す単位です。Copilot+ PCの要件は40 TOPS以上ですが、比べるとGeForce RTX 4060でも約240 TOPS相当。NPUは省電力で常時動かすための部品で、生成AIの重い処理を受け持つものではありません。

Copilot+ PC

NPUが40 TOPS以上、メモリ16GB以上、SSD 256GB以上というMicrosoftの要件を満たすWindows PCです。該当する機種はCore Ultra 200V、Ryzen AI 300、Snapdragon Xなど。この要件を満たすと、リコールやコクリエイターといったWindows付属の機能が使えます。生成AI用途で選ぶ理由にはなりませんが、省電力設計でバッテリー持ちが良い機種が多い点は実用的な利点です。

CUDA

NVIDIAのGPUで並列計算をするための仕組みです。画像生成や動画生成のツールの多くがこれを前提に作られているため、AMDやApple Siliconでは動かないか、対応が遅れることがあります。ローカルLLMはCUDA以外にも対応が進んでいるので、Macでも問題なく動きます。用途によってGPUメーカーの制約が変わるのは、この差によるものです。

Apple Silicon(M1〜M5)

AppleのMac用チップです。無印、Pro、Max、Ultraの階層があり、メモリ帯域幅が大きく違います(M4は120GB/s、M4 Proは273GB/s、M4 Maxは546GB/s)。ローカルLLMではこの差がそのまま生成速度の差になるため、無印とProの価格差以上に体感が変わります。メモリは購入時の容量から増設できません。

WSL2

Windows上でLinux環境を動かす仕組みです。Claude CodeやCodexなどのコーディングエージェントはmacOS/Linuxが本流のため、Windowsではこの上で動かすのが標準的です。既定でシステムメモリの半分を確保するので、設定ファイルで上限を決めておかないとWindows側のメモリが足りなくなります。

ソフトウェアと使い方

ローカルLLM

クラウドに送らず、自分のPCで動かす言語モデルです。社外秘の文書をそのまま渡せる、オフラインで動く、API課金がない、という利点があります。賢さではクラウドの上位モデルに及びませんが、8Bクラスでも要約や定型文の生成は実用的です。

Ollama / LM Studio / llama.cpp

ローカルLLMを動かすツールです。llama.cppが土台で、Ollamaはコマンドとして扱いやすくしたもの、LM Studioは画面で操作できるようにしたもの。初めてなら画面のあるLM Studio、他のツールから呼び出すならOllamaが選ばれます。

LoRA

モデル全体を作り直さずに、追加の小さなファイルだけで画風や口調を学習させる方法です。画像生成で「特定のキャラクターを描かせる」といった用途で広く使われます。学習にはVRAM 12GB以上(SDXL)、16GB以上(FLUX)が目安です。

RAG(検索拡張生成)

手元の文書を検索して、その内容をモデルに読ませてから答えさせる仕組みです。モデル自体を学習させ直さずに、社内規程や契約書について答えさせられます。文書をベクトル化する埋め込みモデルと、答えを書くローカルLLMの2つが必要です。

AIエージェント

指示を受けて、自分で手順を考え、コマンドを実行し、結果を確かめて進むAIです。Claude CodeやCodexが代表例。モデルの推論はクラウドでも、ビルド・テスト・ブラウザ操作といった実作業は手元のPCで走ります。このため「クラウドAIだからPCは不要」という理解は誤りで、当サイトがGPUだけでなくCPUコアやメモリまで含めて判断する理由もここにあります。

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